幻の黒猫

2007年の日記もどき:4月

4.1.2007

[book] [こ]『マリア様がみてる (あなたを探しに)』今野 緒雪:集英社(コバルト文庫)

2007/04/01

「ごきげんよう」
肩に力の入っていない自然体のほほえみに、祐巳の胸はいっぱいになる。そこにいるのは、間違いなく素顔の瞳子ちゃんだった。

cite ( 今野 緒雪『マリア様がみてる (あなたを探しに)p96』 )

たとえば。1999年の大晦日、新世紀の幕開けを祝おうと、「10、9、8,7〜」とワクワクしながらカウントダウンに参加していたら残り一秒で巨大時計の秒針が止まったかのような、そんな感じ。こっちはクラッカーを鳴らす準備も万端ですのよ?

とまあそんなじれったさはあるもののそれが不満にならないのは、もうみんな、表にはあらわれずとも時間は進みすでに新しい世紀は始まっていることを知っているからだ。おめでとう、というより、よかったねぇ、という言葉の方がふさわしい。

今回は、前回のバレンタインイベントで当選した3人の三薔薇(のつぼみ含む)とのデートの模様が綴られる。それぞれが、デートの過程で「本当の自分」を取り戻す、いわばマリみての基本とも言える話である。祐巳と瞳子のパートも含め、いずれもよい話だった。特に白薔薇パートはひねりが効いていた。赤以外はキャラクタに思い入れがない分フラットな気持ちで読める。

マリア様がみてる−あなたを探しに
  • マリア様がみてる−あなたを探しに
  • 著者:今野 緒雪
  • 出版社:集英社
  • 頁数:201 ページ
  • 2007/3/30
  • \ 440 (税込)
  • 出版社/著者からの内容紹介:
    今年もバレイタインはドキドキ… 「妹にしてください!」と祐巳に逆告白した瞳子。宝探しの紅いカードを見つけた生徒と、祐巳はデートすることに。志摩子のカードを見つけたのは一年生で…。薔薇姉妹それぞれのデートを描く…… >>

[game] 『世界樹の迷宮』その4(B26まで。)

2007/04/01

土日にポツポツ遊んでとりあえずクリア。意識してネタバレの情報を耳に入れないようにしていたので、第5層からの流れには感心した。ああ、メガテンの会社なんだなあ、とか。第4層、第5層は音楽もよかった。レベル上げすぎたせいかラスボスもあっさり倒せた。けっこう満足したので「もうこれでやめてもいいなあ」と思ったのだが、ためしに第6層に潜ったら雑魚にあっさり倒されて笑った。もう少しだけ続ける。

  • ソド男はハヤブサ駆けが強い。雑魚相手には必須。しかし複数回攻撃が無いのでボス戦には意外に中途半端。スキル攻撃は捨てダブルアタック発動にかけるか?
  • ブシ子を育ててみたが防御力が紙なのであっさり雑魚に倒される。ボス戦ではLV10ツバメがえしが使える。
  • レンジャー強すぎ。前に置いても後ろに置いても雑魚にもボスにも総じて強い。
  • アルケミストが終盤使えなかった。術式のスキルをLV10に上げてもTP消費が高い割りに与ダメージが低い。
  • ソード+レンジャー+メディ+バードで4人は鉄板だろうな。趣味で瞳子(ダクハン)を入れている。

4.8.2007

[comic]『もやしもん(1)〜(4)』石川雅之:講談社イブニングコミックス

2007/04/08

帰りに読む本が無かったので駅近くの本屋で購入。とりあえず二冊買ったのだが、次の日残りも買った。きわめて面白い。菌が肉眼で見える特殊能力を持った主人公が某農大に入学したところから始まるキャンパスライフの話。ちまたで話題に挙がるのはディフォルメされた細菌の絵ばかりなので、こんなマトモな話だったとは思わなかった。

  • 1巻。主人公がp67で見つけた菌って何?
  • 主人公の幼なじみ、1巻p78まで女なんじゃないかと疑ってました。
  • 「あと、語尾にごめんなさいってつけなさい」「フザけんなしばくぞ長谷川……ごめんなさい」「はぁ……だりぃよごめんなさい」ワラタ。
  • かもして ころすぞ
  • ついつい東京の話だと忘れてしまう。
  • 1巻p196。夜、ケータイの明かりで地図を見てる。わはは、よくやる。
  • ナウシカ〜(笑)
  • 女性陣の顔が区別つかない。特に武藤と長谷川。いわば自分の意思で作りあげた顔ってゆうか。外人モデル顔。
  • 「夜の日吉酒場」。2巻。p76、店の前に高級車が列をなして止まっている。細かい!
  • 学校の会談。後になんかつながってくるような気がするなあ。
  • 2巻p95。そうそう、こんな話がずっと続くのかと思ってたんだよ。
  • 春祭。学校を閉鎖し、学生会と一般生徒に分かれて戦う壮大な祭り。ゆうきまさみ『究極超人あ〜る』で似たような話があったような。が、いまいち興味なし。こういうイベント事は苦手なんだよ。
  • パンチラ。この人の書く女の子って、ただ立ってる時もポーズとってるんだよね。
  • 武藤がタチ。
  • 3巻p87「生肉好きの理由はいずれ」理由があるのか。
  • (こうやって書いてくことに)飽きた。4巻見所。武藤すっぴん、ゴスロリの正体、主人公菌が見えなくなる。

教授が人格者じゃない所がいい。ほんと、大学の教授って程度の差はあれマトモな人のほうが少ないと思う。

[comic]『もやしもん』感想続き。(注意。以下ネタバレ)

2007/04/08

人工的に身体の線を作りあげるような衣服はやめたほうがいいんじゃない?とか、すっぴんのほうがいいよ!とか、ある男性に言われた。

彼の真意は別として、そういった女性に対するナチュラル志向というのは、支配欲からくるものなのだろう。
彼らが欲しいのは自分好みに作り上げるための素材としての女性であって、自分の身体(容姿)を自分自身でコントロールしている者ではないのだ、おそらく。

ロリータファッションは、自分はあなたのための素材ではなく、自分自身のための素材なのだという意思の表明のように私には思われる。自分で自分を着せ替えできる人形には、御主人様なんて必要ないのだから。(以下略)

cite ( 二階堂奥歯『八本脚の蝶:2001年11月17日(土)』 )

過去や未来に問題を抱える登場人物ふたりがボンテージやゴスロリという特徴的なファッションに身を包んでいるのは、きわめて意味のあることだと思う。過去の自分とはちがう、自らの意思によってのみ作り出したペルゾナ。それは、ふたりにとって何よりも必要なものなのだったのだ。ゴスロリが主人公と再会した後、普通に物語の中に登場するようになったのは、主人公に正体を気づかれなかったからだ。それによって、今の自分は過去とは切り離された存在と確信出来たからこそ、”別の自分”として物語の舞台に上がることが出来たのである。

彼が主人公にキスをしたのも、その(自分は別の存在であるということの)意思表明なのだろう。彼が主人公を好きだという感情は、”造り酒屋の一人息子である”彼にとってはあってはならないものなのだから。さらにうがった見方をする。この感情は、どれまでが自分自身のものなのだろうか?幼なじみであるということ。造り酒屋と麹屋の跡継ぎ同士という、離れがたい関係であるということ、それらから切り離されたとき、存在しうるものなのだろうか?その問いが彼にはあったのではないだろうか。それに対する答えを得た、その確信が、彼にあの行動をとらせたのではないだろうか。そう考える。

追記。
もっといい引用箇所があったはずなんだけどなあ。見つけられなかった。サイトの検索は機能していないように見える。おそらく閉鎖された旧サイトを検索してるんじゃないか。

4.15.2007

[book] [う]『獣の奏者(T闘蛇編/U王獣編)』上橋 菜穂子:講談社

2007/04/15

分厚いハードカバー、しかも上下巻ということでスルーしていた。雑誌『switch』にて北上次郎氏が絶賛していた、その紹介を読んで興味を覚え購入した。北上次郎、ありがとう。

これは傑作ですね。例えば、僕がこの作品を読んで連想したアン・マキャフリイ『パーンの竜騎士』、宮崎駿『風の谷のナウシカ』がそうであるように、あるいは小野不由美『十二国記』が、荻原規子『空色勾玉』がそうであるように、十年、二十年と世代を超えて読み継がれるべき作品だと思います。

獣の奏者 I 闘蛇編
  • 獣の奏者 I 闘蛇編
  • 著者:上橋 菜穂子
  • 出版社:講談社(全書籍)
  • 頁数:319 ページ
  • 2006/11/21
  • \ 1,575 (税込)
  • 出版社/著者からの内容紹介:
    上橋菜穂子待望の長編ファンタジー けっして人に馴れず、また馴らしてもいけない獣とともに生きる、宿命の少女・エリン。 母が指笛を吹き鳴らしたとたん、奇跡が起こった。だが、その奇跡を、母は「大罪」と呼んだ………… >>

獣の奏者 II 王獣編
  • 獣の奏者 II 王獣編
  • 著者:上橋 菜穂子
  • 出版社:講談社(全書籍)
  • 頁数:414 ページ
  • 2006/11/21
  • \ 1,680 (税込)
  • 出版社/著者からの内容紹介:
    上橋菜穂子渾身の長編ファンタジー 王国の陰謀に果敢に立ち向かう少女・エリン。獣を操る技を身につけた彼女が選んだ未来とは? 「王獣は、けっして人に馴れることはない。甘い幻想を抱いて近づきすぎれば、爪で引き裂かれて死ぬことになる」師匠にそう言われても…… >>

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