幻の黒猫

2006年の日記もどき:1月

1.7.2006

[book][こ]『マリア様がみてる (未来の白地図)』今野 緒雪:集英社(コバルト文庫)

2006/01/07

「メリークリスマス」
祥子さまは祐巳の手をとって囁いた。
――世界中の人々が、幸せにこの日を迎えられますように。
「……メリークリスマス」
手をつないで歩きながら、涙が出そうになったので。
雪が降ればいいのに、と祐巳は天を仰いだ。

cite ( 『マリア様がみてる (いばらの森)p204-205』 )

メリークリスマス。
空気が冷たい。
――雪。

cite ( 『マリア様がみてる (未来の白地図)p176』 )

「ごきげんよう」「ごきげんよう」から始まるマリみて恒例のアバンタイトルにおける今回のモノローグは誰のものであったか?それが判明する p162-3 のシーンが、その直後の例のアレよりもよほど感慨深かった。それは、これまで「祐巳と祥子」の物語であった「マリみて」が、今回初めて「祐巳と瞳子」の物語となったことを表明しているように思えたからだ(*1)。今回のラストで祐巳が流す涙。それは、彼女がはじめて瞳子を思って流した涙だ。

この作品は、『チェリーブロッサム』よりもよほど「マリみて2期」の始まりと呼ぶべき作品ではないか、と思う。

[book][こ]『マリア様がみてる (未来の白地図)』感想続き

2006/01/07

じゃあお前はめでたく姉妹になってお姉さんぶって瞳子を可愛がる祐巳やツンツンデレデレする瞳子を早く見たくないのか?と自問してみる。もちろん見たい。心の底から見たい。だが僕は、それと同じくらい素直になれない瞳子の姿をいとおしく思うのです。

マリア様がみてる−未来の白地図
  • マリア様がみてる−未来の白地図
  • 著者:今野 緒雪(著)
  • 出版社:集英社(コバルト文庫)
  • 頁数:15 x 11 ページ
  • 2005/12/22
  • \460
  • 内容(「BOOK」データベースより):
    試験休み、祐巳に柏木から電話がかかってくる。瞳子が家を飛び出して、戻ってこないのだという!乃梨子や可南子など、心当たりに電話しようとする祐巳。しかし、捜すまでもなく瞳子は祐巳の家に現れる!近所で帰宅途中の祐麒と出会ったのだった…… >>

*1: 本来の二期目スタートである「チェリーブロッサム」のモノローグは乃梨子によるものだった

1.14.2006

[book][し] 『青い花 1巻』志村 貴子:太田出版(F×COMICS)

2006/01/14

未だ生まれていない、名前の付けられない「なにか」。いったん形となり手に入れてしまうと、確かに”それ”であったはずなのにどこか違うと感じてしまうもの。志村 貴子は、そういったものを書くのが実にうまい。

  • 『荒野の恋』(桜庭一樹)といい、鎌倉という舞台はこういった話に相性がいいね。
  • この作品は、表紙その他ではっきりと表明しているようにあーちゃんとふみちゃんの物語なのだと思う。この先あーちゃんの感情がどう変化しているのか楽しみでしょうがない。
  • 杉本先輩は要チェック人物。彼女の行動は先生に対するそれの代償行為に見える。井汲さんが誰を想っているのかいまいち分かりづらいな。
  • くるりに同名の曲があるが、本作品のタイトルはそこから来ているのだろうか。あの曲のビデオクリップはモーホー感満載なやつだったことを思い出す。

青い花 1巻

1.28.2006

[book][お] 『ファイナルシーカー レスキューウイングス』:小川 一水:メディアファクトリー(MF文庫J)

2006/01/28

小柄な背丈のわりに豊かな胸を張って言うので、そうか、と英治はあっさりと場所を空けた。

cite ( 小川 一水『ファイナルシーカー レスキューウイングス』メディアファクトリー(MF文庫J)、p97 )

一水たんには珍しい意味もなく乳描写。口絵はパンチラだし。頑張ってるな。

小川一水なら、ギミック無しでも余裕で成立させることが出来た話だろうに、なぜ「幽霊」というファンタジー要素を話に持ち込んだのかが読んでいて疑問だった。あとがきを読んで分かった気がする。彼には、単純にプロフェッショナル集団が活躍する話として自衛隊という組織を描くことが出来なかったのだろう。

ファイナルシーカー レスキューウイングス
  • ファイナルシーカー レスキューウイングス
  • 著者:小川 一水(著),山本 七式(イラスト)
  • 出版社:メディアファクトリー(MF文庫J)
  • 頁数:15 x 11 ページ
  • 2006/01/25
  • \609
  • 内容(「BOOK」データベースより):
    高巣英治は、同級生と乗ったボートが海に流され遭難してしまう。台風の接近で死の淵に立たされた英治を救ってくれたのは、〈最後の切り札〉として出動するレスキューの最高峰、航空自衛隊救難飛行隊だった。この体験で…… >>

1.29.2006

[book][こ]『マリア様がみてる (イン ライブラリー)』今野 緒雪:集英社(コバルト文庫)

2006/01/29

やさしい手はいらない。私は、ベスの抱いている哀れな人形(ジョアナ)じゃないから。
そろそろ、エイミーに戻らないといけない。――だから。

cite ( 「ジョアナ」『マリア様がみてる (イン ライブラリー)』p63 )

今更ながら感想を書く。じつのところ、コバルトに掲載された短編を集めた番外編的な一冊だという話を聞いていたので、この本はスルーしていた。ブクオフで100円で売られていたので購入。うむ。

瞳子視点から『特別でないただの一日』のエピソードを描いた『ジョアナ』がいい。他の4篇と違いマリみて本編と若草物語の双方を読んでいないと成立しない点は弱いが、短いながら暗喩に満ちた良作。といいつつ若草物語なんて読んでから十年はゆうに経過しているのでほとんど憶えていない。明日買いに行こう。

『図書館の本』はどうなんだろう。長く続くシリーズにはありがちだが、後づけで過去の因縁が創られていくのはあまり気持ちのいいものではない。話し自体はいい話なのだけど。

マリア様がみてる −イン ライブラリー
  • マリア様がみてる −イン ライブラリー
  • 著者:今野 緒雪(著),ひびき 玲音(イラスト)
  • 出版社:集英社(コバルト文庫)
  • 頁数:15 x 11 ページ
  • 2004/12/25
  • \440
  • 出版社 / 著者からの内容紹介:
    超人気シリーズ、本をめぐるスペシャルストーリー。
    学園祭も終わり、薔薇の館に集う山百合会の面々。疲れのたまった祐巳は、ついうたた寝してしまう。目を覚ますと祥子さまどころか、祐巳以外の人は誰もいなくなっていて…!?

[book]『荒野の恋 第二部 bump of love』,『かみちゅ!(1)』,『惑星のさみだれ(1)』,『カルバニア物語(10)』

2006/01/29

  • 『荒野の恋 第二部 bump of love』よい。
  • 『かみちゅ!(1)』絵とテンポ。一歩間違えば下品な話をうまくまとめている。
  • 『惑星のさみだれ(1)』主人公の性格が好きだ。お前、俺?
  • 『カルバニア物語(10)』感動。ライアンと結ばれる話と公爵を告ぐことを皆に認められる話を同時にしちゃうところがこの作者の凄さ。性も政治も繋がっている。それが生きるということ。

荒野の恋 第二部 bump of love
  • 荒野の恋 第二部 bump of love
  • 著者:桜庭 一樹(著),ミギー(イラスト)
  • 出版社:エンターブレイン(ファミ通文庫)
  • 頁数:15 x 11 ページ
  • 2006/01/30
  • \672
  • 出版社 / 著者からの内容紹介:
    一風変わった"恋愛小説家"の父を持つ荒野。再婚した父への複雑な思いと、淡い"初恋"に終わった悠也との思い出を抱えながら、14歳になり少し大人になった荒野の"恋"に対する恐れと驚愕を描く、桜庭一樹「恋の三部作」第二弾…… >>

かみちゅ!(1)

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カルバニア物語 10 (10)
  • カルバニア物語 10 (10)
  • 著者:TONO(著)
  • 出版社:徳間書店(キャラコミックス)
  • 2005/12/24
  • \560
  • 出版社 / 著者からの内容紹介:
    「私、そろそろ"恋人のいる人生"に突入しようと思うの?」
    連日の借金デートでラブラブ気分が盛り上がったエキューは
    ついにライアンとはじめての夜をむかえることに──
    ところがそんな折…… >>

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