幻の黒猫

2000年の日記もどき:12月

12.2.2000

[book][い]「イーシャの舟」岩本隆雄:ソノラマ文庫(12.02.00)

2000/12/02

10年ぶりの「星虫」復刊後、堰を切ったように出版ラッシュをかける岩本さん。その最新作「イーシャの舟」は、「星虫」同様に新潮文庫からの復刊作品。「星虫」以上に加筆訂正が加えられているらしいが、残念ながら新潮社版はとうの昔に紛失してしまっており、実質新作と同じ姿勢で読むことが出来た。

鵺姫真話の時はあんなことを言っておいてなんですが、面白い!源氏物語の紫の上…というより映画「プリティ・ウーマン」。こういえば大体ストーリーは分かるハズ。相手は妖怪だけど(笑)。細かい設定のひねりが効いていて、話の先は予想できても楽しく読むことが出来た。

ただ、相変わらず気恥ずかしい点はある。イーシャを肩に乗っけてジングルベルの歌の中街を練り歩くシーンは、感動より先に恥ずかしさが来た。まあ、世の中にはこういう”めでたしめでたし”な物語も必要である。誰も岩本さんに菊池秀行ばりのドログチョは期待しないだろうし、このまま前進してほしいと思う。

あ、草g琢仁さんの挿し絵、最高です。

12.3.2000

[book][き]「楽園の魔女たち 星が落ちた日」樹川さとみ:コバルト文庫(12.03.00)

2000/12/03

ええと。前回このシリーズの感想を書いてからもうかなりなるな…。こういった長く続いているシリーズ物は、よほど何かない限り書かないことにしてるんだけどね。今回は書かねばなりますまい。

このシリーズは、魔女となるべく「楽園」と呼ばれる辺境の地で修行の日々をおくる4人の少女たちを描いたお気楽ファンタジィ。と前回紹介したんだけど、今回はお気楽じゃない。なんと空から隕石が降ってきて、「楽園」がこっぱみじんになってしまいうのだ!!。ストーリーも今までになくシリアス。とりあえず魔術師同盟本部に避難してきた少女たちは周囲からの好奇の視線やあからさまないじめにギスギスしてるし、お師匠さんは過去の自責の念で一人ウジウジしている。

もともと、”何処にも行くところがない”少女たちが逃げ込んできた場所が「楽園」であり、そこで自分を癒し少しずつ成長していくのがこのシリーズの構造だとかってに考えていたので、この展開には驚いた。「楽園」を出て行くのはシリーズ最終話だとばかり思っていたから。実はこの考えを裏付けるかのように、今回の話はかなり最終話っぽい。ラストにはこれまでの登場人物が意味も無く勢揃いするし(まるで少年バトル漫画の最後の戦い直前のシーンみたいだ)。

とはいえ雰囲気としてはまだまだ続きそう。とゆーより続いて欲しい(願)。今回で弟子中心の展開は一段落して、師匠の謎に迫っていくことになるのかも。なってくれ。

12.17.2000

[book][も]「Dive!(2)」森絵都:講談社(12.17.00)

2000/12/17

飛び込み競技に青春をかける少年たちのスポ根小説第2弾。前作の知季に代わり、同じスイミングクラブ所属の、地方出身の野生児、飛沫が主人公。前作、知季からの視点では地方からきた本能型天才少年としか見えなかったのが、今回視点が飛沫に移ったことにより彼自身の抱える悩み、ゆれる感情がダイレクトに伝わってくる。同じように、飛沫から見た知季は前巻での悩みっぷりが嘘のようにスマートな少年に見える。丁寧な描写が、登場人物それぞれをリアルに感じさせる効果を生み出している。視点変更型青春スポーツ小説といえば川島誠さんの「800」を思い出すんだけど、あれに負けないくらい面白いぞ。

次巻は彼らの兄貴分である要一君が主役ではないかと踏んでいるのだが、どうなるでしょうか。(しかし次巻はなんと来年の7月ですって…遠いなぁ。)

nDiary を使ってみた。[nDiary]

2000/12/17

本は読んでいるのに感想を書くのが面倒で、ホームページの更新が滞ってしまっている。感想を書くのもそうだがそれ以上に、html のタグを打つのが面倒で面倒で…

フリーウェアの html エディタなんて言う代物も幾つか試してみたがありゃあダメだね。タグを知らない初心者には使えないし、上級者は自分が愛用しているエディタを使いたいだろうし、中途半端すぎる。お金を貯めて DreamWeaver を購入したほうがよほどいいと思う。

結局、打ち込んだテキストを元に動的に html を出力してくれるスクリプトや CGI の類を使うことにした。いろいろ探した結果その中でも一番よさそうだな、と思ったのが nDiary という日記作成支援スクリプト。Ruby にも密かに興味があるし使ってみることにした。

12.23.2000

[book][お]「ライオンハート」恩田陸:新潮社(12.23.00)

2000/12/23

5つの絵を題材に5つの時代を舞台にした、時空を超えて幾度も巡り合う1組の男女が主人公の連作長編小説。SFでありミステリでありそして恋愛小説である。梶尾真治さんの傑作短編「時尼に関する覚え書」を思い出すなぁと思ったらそれもそのはず、どちらもロバート・ネイサン「ジェニーの肖像」のオマージュなのですね。

しかし恩田陸さんはうますぎる!一つの場面における瞬間の描写力はずばぬけたものがあるね。第1話、飛行機が到着する広場での少女との瞬間の出会いと別れの流れの見事さときたら!素晴らしい!誉めても誉め足りません。

もぉ私は恩田さんの文章に惚れ込んでいるので、作品に対する冷静な評価は出来そうにない。…んだけど、密かに私は、恩田さんは「長編小説をガッチリと構成する能力」はあまりないんじゃないか?と危惧している。「月の裏側」はグチャグチャ混ぜまぜがその先どうなるかは書かれないし「六番目の小夜子」も”小夜子システム”は解かれぬまま次の学年へと受け継がれてゆく。「光の帝国」といい「三月は深き紅の淵を」といい、彼女の才能は「長い物語の一部分を切り取る」その切り口の見事さにあるのではなかろうか。このライオンハートも、タイムスリップ(?)のネタ明かしは唐突であり理解は出来ても納得は出来ない。エリザベスとエドワードの正体を明かす章は、もう少しページを使って書いてほしかったよ。
作者インタビュー>>

12.27.2000

version.rb (::nDiary) のこと。

2000/12/27

先日導入したnDiary 。「Ganerated by nDiary」という文字を日記に挿入するかしないかを選べるのだが、挿入する位置は指定できない。日記の一番下に挿入できたらいいのに。プラグイン形式にして任意の場所に<!--plug=ndiary_title-->といった感じに〜と書きながら nDiary のプラグインフォルダを覗いてみたら…あるじゃん。まさにこの目的のための version というプラグインが!

というわけで教訓。ちゃんと調べてから文句は言おうね。(正直な話、各プラグイン、フィルタに対しての説明書きもほしいのだが。)

Ganerated by nDiary version 0.9.4
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