幻の黒猫

2000年の日記もどき:6月

6.1.2000

[book]「二の悲劇」ラジオドラマ化

2000/06/01

今NHK-FMで法月倫太郎「二の悲劇」のラジオドラマが行われていること、知ってました?僕も偶然知ったのですが、結構いい感じ。ちなみに22:45-23:00の15分間のようです。

6.3.2000

[book][わ]「メカニックスD」 若木未生:コバルト文庫(6/3)

2000/06/03

昔好きだったXAZSAのシリーズ第3弾が何年ぶりかに発売され、懐かしさのあまり購入してしまった。収録された短編の書かれた年代にかなりの幅があるので、作者の文体の変化のよく分かる格好の資料となっている。

最近の若木さんの小説は読むのに苦労する。少なくともエンターテイメント系小説を読むときには使わない…たとえて言うなら安部公房やある種の現代詩を読むときと同じ部分の脳を使わないと文意がとれず、読んでて疲れる。作者の後書きやエッセイ等を読んでいると、作者自身自分のなかにある物語をジャストに表現できる言葉を繰り出すために苦労していることが伝わってくるのだが…。伝えたいストーリーがあるのならそれを表現する言葉自体はあっさりした、平易なものでいいんじゃないだろうか、とも思う。

むむむ…。内容について書くのを忘れていたぞ。いち。京平の出番が少ない。に。いまさらオザケンはないのでは?以上。

6.7.2000

[book][か]「殺竜事件」上遠野浩平:講談社ノベルズ(6/7)

2000/06/07

上遠野さんは、デビュー作であるブギーポップシリーズの大ヒットで一躍名を馳せた。その作者による大人向けレーベルでの新作、しかもそれが殺された竜の犯人探しというファンタジーなミステリということで非常に期待していた。そして読了。うむ。なかなかよいね。

これまで作者が書いてきたブギー(略)のシリーズはカット割りの細かさとそれによって生じるスピード感が特徴だった。当作品ではそれが抑え目で、小説としてのスタイルはオーソドックスである。しかしそれがかえって物語のおもしろさ文章のうまさがよく伝わってくる。造語の数々による世界観の喚起力がすごいぞ!「呪殺地雷」、「高速強化鳥」、「世界調停士」etc…。

以下ちょっとネタバレ。注意!!
人を超えた存在である竜が守るべき対象である人間から殺され、それによって人間という種自体の存在する意義が問われる展開は、ブギーポップの1作目を思い出させる。現実の枠から抜け出すために竜を殺す手段を選ぶ人たちと、”水面の向こう側”をさぐることによって進化への道を探る人たち。枠の存在に気付きながら今という現実のなかでサバイヴする主人公たちは(キャラクターとしての)ブギーポップの一派であろうか?ブギーポップシリーズを通して語られているテーマがさらに深化し、この1冊に結実している。

デビュー作からずっと一つのシリーズを書き続けてきた作者の、初めての単発もの。しかしこれも、明確な上遠野作品である。ブギーポップシリーズが好きな人はこの作品も気に入るだろうし、逆もまた同じだろう。ブギーさんのシリーズが長くって手が出せなかった人は上遠野さんを知るいい機会だと思う。一読あれ。

6.9.2000

[book][も]「DIVE!!(1)」森絵都:講談社(6/9)

2000/06/09

前作「カラフル」で一般の本読みさん達の間にも名が知られるようになった、児童文学出身の森絵都さんの新作(偉そうなこと言ってますが、僕が森さんを知ったのも上の作品から)。飛び込み競技に青春の日々をかける少年たちの青春スポーツもの、のシリーズ1巻。

ライバル、恋愛、成長、なテーマもその展開も極めてありがち。だがしかし、こういったオーソドックスな話をきちんとかける作家が今、どれだけいるだろうか?ウェルメイドな良品である。たまにはこういう作品を読んでリラックスしましょう。

6.22.2000

[book][が]「フルメタル・パニック! 同情できない四面楚歌?」賀東招二:富士見ファンタジア文庫(6/22)

2000/06/22

今結構気に入っているシリーズの短編集第3弾です。本編がシリアスなバトル物なのに対して、短編はギャグに徹した学園コメディである。

いや、あいかわらず面白いんだけどさ。作者一押しらしい前後編の生徒会長の話がいまいちのれなかった。ウェットすぎ。以前から気になっていたのだが、こういった人情物になると作者の青さが目立つな。すぐに「ちょっといい話」でまとめようとするのはいかがなものか。書き下ろしのマオ姉とバカコンビ2人の出逢いの話はよかったけど。

とりあえず読んだことが無い人はおすすめのシリーズでしょう。オーフェンのシリーズが失速気味の今、次にくるのはこれかと。長編を先に読んでみて、面白かったら短編も、という順番で読むのがいいと思う。

6.28.2000

[book][も]「女王の百年密室」森博嗣:幻冬舎(6/28)

2000/06/28

「すべてがFになる」や「黒猫の三角」等のシリーズ作品が人気の作者による、書き下ろし長編。近未来が舞台のSFミステリィ。

相変わらずの森作品でした。密室トリックとは別個にサプライズが仕掛けてあって、読了後に「なんじゃこりゃぁっ(ジーパン風に)」ともう一度はじめから読み直すはめになる。この感覚はたまりませんね。今回は特に近未来という設定がトリック(密室と作品全体)そのものに利いていて、僕のSFマインドにも響いてきました。

あと森先生の作品はみなタイトルが良い!「女王の百年密室」なんてもお、タイトルだけでご飯が3杯食べられますな。( 誰だ?「1000年女王(松本零士)?」なんていっているのは?)

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