幻の黒猫

2001年の日記もどき:4月

4.5.2001

[book][こ]「マリア様がみてる いとしき歳月:後編」今野緒雪:コバルト文庫

2001/04/05

今一番少女小説らしい、女子校を舞台にしたシリーズの最新刊で薔薇さま達の卒業編。予想通りほんわかさんな内容。祐巳と白薔薇さま、3人の薔薇さま達、祥子と令などそれぞれの緩やかだが確かな絆があくまでも自然に語られる。い〜いお話である。うんうん。

4.8.2001

[book][あ]「星くず英雄伝9 鏡像宇宙の小姫」新木伸:電撃文庫

2001/04/08

SFとはスペースファンタジーの略だ!と思い込んでいた貴方(俺のことだが)にぴったりな愛とお約束とギャグと疾走感に満ち満ち溢れたエスエフ小説の傑作・・・・と呼ぶのはちょっと気恥ずかしい、まあそんなシリーズ。

今回は、前巻最後で宇宙船が墜落、不時着した惑星での生徒達の共同生活話である。とはいえ話は「蝿の王」や「バトルロワイヤル」方面に進むこと無くのほほんと展開する。そして、のっぴきならない事情から自らの手で宇宙船を建造し宇宙へと飛び立たなければならなくなる、と言った話。ビバ、アオカン天国!と狂ったことを口走りそうになるのだがそれはともかく開放感に満ちたどこか番外編なノリである。そしてラストに衝撃的な事実が!

4.9.2001

[book][い]「若草野球部狂想曲3 スプリング・ステップ」一色銀河:電撃文庫

2001/04/09

結構気に入っている本格派スポコン・ラブコメ小説なシリーズ最新刊、で完結編らしい。前作。うんうん。相変わらず面白かった。完結とはいえ仰々しい展開はなく、相変わらず淡々と。ラブとコメとスポコンのバランスも絶妙で、それがこのシリーズのよさだったな。いくらでも続きが書けそうな結末となってるので、気が向いたらまた書いてほしいものである。

4.15.2001

[book][お]「黄昏の岸暁の天」小野不由美:講談社文庫

2001/04/15

というわけでようやっと発売された十二国記シリーズ最新作。予告されていた通り、泰麒の失踪とその帰還の物語である。

読了後の感想は「小野不由美はさすがだ」ってこと。5年待たされたことも許せるだけの面白さでありました。まぁストーリーそのものに意外なところはなく、事の経緯も既刊本から読み取れた情報以上のものは無かったが(例えば陽子と高里が1歳違いであること、泰麒が角を封じられていること。そして世界の真の中心が蓬山=天だということなどなど)、それは同時に作者のフェア精神の現われでもある。思い付きで物語を進めていない、事前に伏線をきちんと張っているからこそ、読むわれわれが気づくことが出来るんだからね。

諸王が集い協力し合うこと、いずれ物語が十二国記世界のシステムそのものへと言及されるであろう事も推測していたが、それが今作で一度に行われるとはさすがに思わなかったな。世界全体が一度ゼロから造り直された、なんらかの思考実験によるものであることは1作目から示唆されており、とすれば物語が、いずれ世界の内に生きるものがその世界自体へと考察するメタな要素を含んでくるのも必然である。その主人公は外部の視点をもつ山客・海客がふさわしいだろうし、同時に世界の中心部に位置する王、麒麟であるべきだろう。だからこそ陽子や尚隆、六太、高里ははこれまで物語の主役を張ってきたし、今後も重要人物としてシリーズに登場するだろうとは思っていた。だけどねぇ。今作で自分が考えてきた十二国記世界の仕掛けは殆ど語られちまったやね。ほんと小野さんはネタを惜しまない人だなぁと考えた次第。

五年ぶりに解かれた封印は再び施されることはなく、このままシリーズは休まず続くとか。7月に短編集、11月に次の長編らしい。(予定通りならば)1年に3作も十二国記が読めるだなんて。ぴっこり。

4.23.2001

[book][が]「フルメタル・パニック! 終わるデイ・バイ・デイ(下)」賀東招ニ:富士見ファンタジア文庫

2001/04/23

上巻から結構間隔が開いたなぁ。やっと発売された下巻である。

いやぁ面白かった。押して押してたわめて爆発!みたいな。開放感にあふれた爽快な結末。やっぱりこうじゃないとね。特にかなめがいい。宗介に好意を抱きながらもそれに依存せず、自立した彼女の行動力はライトノベルのヒロインとして出色の存在である。クリーオウも見習え。そんな彼女に引っ張られて、宗介も枠を突き抜け自己を開放する。組織に囚われない意識を持ち得るからこそ、上官であるテッサを一人の人間として見ることが
出来るようになる。そこから恋も始めることがあるのだろうが、テッサにとってかわいそうなのはかなめが既にいるってことだよねぇ。

気になるのは、宗介の開放はかなめに依存して起こり得たものだということ。もしかなめが死んだら、あるいは彼女が宗介から離れていくことがあったら?その不安はこの巻の中に既にある。テッサの兄であり謎の敵の中心人物であるらしい男のセリフ。かなめがウィスパードとして目覚めていく時、かなめは、宗介はどのような行動をとるのだろうか・・・。

4.24.2001

[comic][は]「ハチミツとクローバー(1)」羽海野チカ:宝島社

2001/04/24

今年2月に発売された単行本。発売時にマイ巡回サイト`sで話題になっていたのだが特に食指をそそられず購入を見送っていた。それが何故今?それは今日、とある書店で漫画雑誌を立ち読みしていた時のこと。その書店は珍しく女性向け雑誌と男性向けを区別せずにひとまとめにして置いてあるのだが、そこでふと目に留まったCUTIEコミックに「ハチミツとクローバー」の文字が。「あ〜そういや話題になってたよな〜」と手に取り読んでみたらこれが貴方、すげぇいいですよ!雑誌と合わせて即購入。むさぼり読んだね。

内容自体は昔からある貧乏学生群像ものなんだけど、それを描写するセンスがずば抜けている。それぞれのキャラクター、ストーリーの展開、ギャグとシリアスのバランスなどすべてよし。メインのはぐx竹本もいいが、真山、(鉄人)山田、理花、花本の微妙な関係がいい。ちなみに真山はまんまスガシカオですな。

[comic]「CUTIEコミック5月号」宝島社

2001/04/24

というわけで、俺が単行本を買うきっかけとなった今号の「ハチミツとクローバー」の素晴らしさも語ろうと思う。ちなみにこの雑誌、他の連載作品は未だに読んでません。

今回の話は、冬の動物園に出かけた一行のキリンの檻を前にした会話、それだけで構成されている。キリンの孤独を語る真山、全てを丸呑みし吸収しようとするはぐ、キリンのエサを横からむさぼり食う森田とダッシュでエサ買いに走る竹本。そして(鉄人)山田のカカト落とし!丁寧な描写でそれぞれの個性がリアルに伝わってくる。そして予感される別れと変化…。もぉ完璧!完璧ですよ!これを読まずして何を読むのか!?(<落ち着けっ!)

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