たまに、ふいに、こういう奇跡のような物語が現れる。前作がいわゆるレイニー止めだったので続きは気になっていたのだけれど、書店で目にするまで新刊出ているのを知らなかった。なんの予備知識無しにこの本を読めたことに感謝。まずは人物紹介のイラストで衝撃を受け、そして第一章一行目。完璧にノックアウト。こ、これは傑作です。
うん。これはマリみてにおけるレイニーからパラソルのセットと同じくらいやられました。ライトノベル的な、キャラの立ち位置が決まりそれで幾らでも続けられそうな空気が出来上がったからこそ出来る大技です。次巻が楽しみ。
どれだけ銀英伝やねん、とか。以降のスペースオペラ(タイラー、でたまか、星界の紋章etc)が元祖をふまえつつオリジナリティを出していたのと比べ、あまりにもそのまま過ぎる。企業連盟、電子妖精など追加されたガジェットも古めかしい。戦術が〜とかSFとして〜とかいいたいことは多々あるが、まあそれは言うのはやぼか(*1)。なんだかんだいいつつ続きが気になるのでたぶん次巻も読む。
”666”1巻を読んで少年少女の成長譚としての側面がクローズアップされたことに感心したが、それに加え今作で、推理小説としてもそれなりの評価を受けたシリーズ1巻の空気が戻ってきてビックリ。ミステリが成立するには”探偵”の存在が必要だということだろうか?
以前より、「ある男性と彼ををめぐる複数の女性たちによって繰り広げられる物語」いわゆるギャルゲー的世界において語るべき物語があるとすれば、それは男性がひとりの女性を選ぶまでの物語ではなく、彼らによって形成される共同体そのものの成立そして崩壊をめぐるそれなのではないか?と考えている。そういった意味でも、このシリーズがどのような着陸をみせるか、とても楽しみ。